黒部市福祉版MaaS
●福祉版MaaSができた背景
社会福祉法人・福祉施設、事業所等では、人材確保とその定着が大変困難な状況となっており、黒部市では2015年から2030年までに介護需要度が33%増加する見込みで、福祉業界のリソースが不足することが想定されます。
そんな中で福祉施設ごとに保有している福祉車両について、黒部市社会福祉協議会(略:黒部社協)さんから、福祉車両は高額で以前は寄付されることもあったが最近はその数が減ってきているというお話を聞いたことからこのプロジェクトが始まりました。
このプロジェクトのポイント
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- サービスデザイン
- DX
- MaaS
●課題解決のアプローチ
MaaSという名前から福祉車両の乗り合いなどをイメージしたり、アイデアとして思いつく方は多いと思いますが、前提条件として福祉業界全体のリソース不足を補うにはどうしたら良いかを私たちは考えました。
福祉車両を保有する事業者への調査
黒部社協さんと一緒に、黒部市内の事業者ごとの ・福祉車両保有数 ・利用パターン ・使っている時間 などのアンケートを取り、人や車両が集中する時間が異なる事業などを分析していきます。
該当施設へのヒアリング
リソースが分散でき、かつ物理的に近くにある複数施設に対してヒアリングを行います。 施設職員の業務内容やドライバーの役割、車に何人乗車するかなどの課題を聞きながら、 ビジョンワークショップも行います。
アイデアと試算
運転手の空き時間と車両にかかる費用、移動にかかる時間などを試算し、黒部福祉センターが定期運行している1台のバスをベースに、ケアハウスのおでかけサービス、就労支援スタッフの職場への送迎を1台と1人の運転手で行うこととなりました。
また、複数法人を管理する役割を持つ新たな法人も立ち上げとなりました。
新たに運用する仕組みや法人の設立により、名前の決定、ロゴやシンボルマークの作成を行いました。
新法人 一般社団法人SMARTふくしラボのロゴ
●実証実験
アイデア通りにバスの運行が可能なのか、人員が乗れるのか?などのテスト走行を数回行い、後の運用は新法人へ引き継がれました。
現在は市内の各福祉施設が日常的に行っている送迎サービスの中で、利用者の移動の仕組みをシェアすることでどのようなメリットが生まれるかを検証し、それにより福祉サービス・労働改善・車両コスト等にどのような変化が見られるか、その価値を見出すために実証実験を行っています。
2022/5/20 中日新聞に掲載
https://www.chunichi.co.jp/article/473426